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時効消滅した過払金債権と相殺

2021/02/10 時効消滅した過払金債権と相殺

最高裁平成20年1月18日の判決を受けて、取引に空白期間がある場合、同判決の判示する6要素に当てはめて、総合的に判断して事実上1個の連続した貸付取引と評価できるときにはじめて。、第1取引で発生した過払金を第2取引の借入金に充当できるとした。この最高裁判決を受け、ほとんどの下級審判決は、1年から2年以上の取引の空白期間があると取引の分断を認め、第1取引で発生した過払金を第2取引の借入金に充当しない。その結果、第1取引の終了時が過払金の請求時より10年以上となる場合、第1取引で発生した過払金は、時効消滅を余儀なくされる。分断と時効消滅による借主の不利益は甚大な者となっている。

この不都合を乗り越えるための対策。法的主張として、過払金債権と借入金債務のとの相殺が考えられる。すなわち、第1取引で発生した過払金債権を自動債権とし、第2取引に係る貸付債権を受動債権として相殺すれば、相殺の遡及効により(民法506条2項)、第2取引の借入時において過払金と貸付金が対当額で差引計算され、一連充当計算した結果と同じになる。問題は、第2取引に係る貸付債権が、貸付後の借主の弁済によって消滅している場合にも、なお、相殺ができるかという点である。この点、大審院大正4年2月17日判決、最高裁昭和54年7月10日判決や学説の多くも、相殺の「意思表示の時に相殺適状であること」を相殺の要件とする。すなわち、両債権がいったん相殺適状を生じても、相殺の意思表示をする以前に受動債権が弁済その他の債権消滅事由によって消滅したときはもはや相殺することはできないとする。端的には、相殺の遡及効といえども相殺の相殺の遡及効のまえに生じた弁済、更改、相殺、免除の効果を覆すことはできないといわれる。

民法では、条文上、相殺の要件として、①同種の債権を負担すること、②弁済期にあること、③相殺禁止債権でないことをあげるだけで、意思表示の時に相殺適状であることは明文上規定されていない。

したがって、学説・判例が、相殺の意思表示の時に相殺適状であることを要件とするのはあくまで解釈であり、利益考量の結果である。

解釈によって相殺の意思表示の時に相殺適状であることを相殺の要件とする根拠としては、民法が当然相殺をとらず、意思表示によって相殺を行う制度としたことがあげられる。そして、相殺を意思表示にかからしめた理由は、①相殺の事実と時点を明確化して法律関係の複雑化を避け、②弁済等によって受動債権が消滅したことに対する当事者の期待を保護することにあるとされる。

このように両債権が対立した後、弁済等によって受動債権が先に消滅した場合に相殺を認めない根拠は、相殺の本質的な制度理念に由来するものではない。法律関係の複雑化を避け、弁済を有効と信じた当事者の期待を保護するという、利益考量(利益調節)の結果にすぎないことに留意すべきである。

したがって、受動債権者の利益が法的に保護に値しない場合には、相殺の意思表示をする者の保護を優先させて、条文どおり相殺の遡及効を貫徹すべきことになる。相殺の遡及効の制限が、強行法規たる利息制限法を潜脱する結果となる以上、貸主の利益は保護に値しない。(名古屋消費者信用問題研究会より)

当事務所は本解説に基づいて、アコムに対し、時効により消滅した過払金債権と弁済により消滅したはずの受動債権を過払金債権が時効になる前の日付まで遡及させて相殺を認める判決を東京簡易裁判所でいただいた。ただし、相殺が認められるには両債権が相殺の意思表示の時ではなく、遡及した日において相殺適状でなければならず、(この場合の相殺適状とは受動債権が期限の利益喪失などで弁済期が到来していること、つまり両債権の弁済期が到来していること)本件の場合はたまたま受動債権が期限の利益を喪失した一瞬を捉えて、その日まで相殺の時期を遡及することができました。この結果、相殺後の支払はすべて過払金となりました。本件は貸金請求を受けて、被告として対応し、約1年にわたり、勝ち取った判決です。過払い金請求の反訴をすると出頭を要し交通費の負担がかさむのであえて反訴はせず、すべて電話会議で被告訴訟代理人として対応いたしました。本件勝訴判決は債務不存在につては既判力がありますが、過払金請求については理由中の判断ですので執行力がないので別訴にて訴訟中です。

 

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