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旧利息制限法1条2項と過払金請求の歴史

2019/01/11 旧利息制限法1条2項と過払金請求の歴史

旧利息制限1条2項と過払金請求の歴史

 

現在も改正前の利息制限法も第1条1項では金銭消費貸借における利息は元本が10万円未満の借り入れは年20%、10万円以上100万円未満は18%、100万円以上は15%と厳格な法定利率が定められ、これを超えるときは超過部分を無効としています

ところが改正前の利息制限法は第1条には2項があり、「債務者は前項の超過部分を任意に支払ったときは前項の規定にかかわらず、その返還を請求することができない」という規定があった

これが「任意弁済」の問題である

⑴最高裁昭和37年6月13日判決

本判決は超過利息の元本への充当を否定する旨を判事した

理由は元本へ充当することは結果において返還請求を受けたと同一の利益を生ずるからという理由であった

⑵最高裁昭和39年11月18日判決

上記判決から2年半後、最高裁は前記判断を改め、制限超過利息を、元本に充当することを認めた

しかし、充当は認めるが返還請求は認めないというものであった

⑶最高裁昭和43年11月13日判決

超過利息を順次元本に充当し、計算上、元本債権が完済されて、元本が存在しなくなった後は利息が発生する余地はないことから、借り手は不当利得として完済後に支払った金額の全額を返還請求できる旨を判事した

理由は、利息制限法1条2項及び4条2項の規定は元本債権が存在することを前提とした規定であり、元本債権が弁済により既に消滅した場合は同法の適用はないと判断した

⑷最高裁昭和44年11月25日判決

本判決は元本と約定利息とを一括して支払った場合も、借り手は制限超過利息を不当利得として返還請求できると認めた

⑸昭和58年 貸金業の規制等に関する法律(旧貸金業法)

上記44年最高裁判決より超過利息の返還について、利息制限法上の問題は解決しました。

しかしながら、その後、貸金業者による過酷な取り立てが社会問題となったことから、貸金業者に対して厳格な規制を設ける必要が生じ、貸金業の規制等に関する法律(旧貸金業法)が指定された

旧貸金業法は、貸金業者の営業活動に規制を課して借り手の利益を守ろうとした半面、一定の厳格な要件を満たす場合には、超過利息の支払いを有効な利息の返済とみなす規定(同法43条1項、みなし弁済規定)を設けました

このみなし弁済規定は、貸金業界の強い圧力と要求で規定されたもので非常に問題のある規定であり以後、最高裁18年1月13日判決まで、裁判においてみなし弁済の適否をめぐり激しく争われるようになった

⑹平成12年6月には 商工ローンの「臓器売り」が社会問題となり   出資法5条2項の利率が40.004%から29.2%に引き下げられました。これによりグレーゾーン金利の範囲は多少狭まりました。

⑺ みなし弁済(任意弁済)規定の廃止

平成18年改正法により、①利息制限法1条2項「債務者は、前項の超過部分を任意に支払ったときは、同行規定にかかわらず、その返還を請求することができない。」は廃止され、②出資法の刑罰金利が20%まで引き下げられ、③貸金業法43条(みなし弁済(任意弁済)規定)も廃止され(平成22年6月18日施行)、グレーゾーン金利はなくなりました。

名古屋消費者信用問題研究会編「過払金返還請求の手引」から一部引用

 

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