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相続ならびに数次相続

2019/02/14 相続ならびに数次相続

1 相続

相続とは、自然人の死亡により、その者の財産法上の権利義務を、死者(被相続人)と一定範囲の親族関係にある者(相続人)が法律上当然に包括的に承継することをいう。

相続の対象になるのは、被相続人に属した一切の積極、消極財産である(ただし、一身専属的権利義務を除く)

 

2 数次相続

数次相続とは、既に開始した相続による所有権移転の登記未了の間に、その相続人の死亡により第二の相続が開始したような場合をいう。

数次相続の場合、第一の相続登記、第二の相続登記を順次行うのが原則である。

しかし、中間の相続が単独相続の場合中間の相続を省略して第一の相続における被相続人(現所有権登記名義人)から直接現在の相続人へ相続による所有権移転登記がすることができる(明治32年3月7日民刑局長回答)。

登記原因が相続又は家督相続であれば、権利変動の過程は明らかになるので、中間の相続登記を要求することは実益がないからである。

中間省略の相続登記ができるのは中間の相続が単独相続の場合に限る。

この単独相続は、もともと相続人が1人しかいない場合はもちろん、相続放棄によって相続人が1人となった場合、特別受益証明によって他の共同相続人の相続分が存在しないこととなった場合、遺産分割によって当該不動産を単独相続することとなった場合を含む(昭和30年12月16日第2670号)。

 

3 数次相続人間の遺産分割協議と登記手続き

ア 数次相続人間の遺産分割協議の有効性

例えば、被相続人乙が昭和63年死亡し、乙の配偶者甲と直系卑属丙、丁が相続した。

相続登記未了のうちに平成2年丁が死亡し、その直系卑属A,Bが相続した不動産につき、甲、丙、A,B間で遺産分割協議をすることができる(昭和29年5月22日第1037号、昭和36年3月23日第691号)。

甲の死亡により開始した相続により、丁が取得した相続人としての権利義務は、丁の死亡によりA,Bに相続されているので、丁が甲、丙と遺産分割を行う地位も、A,Bによって承継されていると解されるからである。

イ 数次相続人間の遺産遺産分割と登記

⑴ 上記の例で、丙が乙所有不動産を取得する旨の遺産分割協議が成立した場合には、丙名義で相続登記をする(昭和29年5月22日第1037号)。

⑵ 上記の例で、丙、Bが共有で乙所有不動産を取得する旨の遺産分割協議が成立した場合には、まず、丙、丁名義に相続による移転登記をし、ついで、丁の持分についてA名義に相続による移転登記をする(昭和36年3月23日第691号)。この場合、丙の相続原因は乙の死亡であり、Bの相続原因は乙の死亡と丁の死亡であり、丙とBは相続原因を異にするので、丙、B名義に一度に相続登記をすることはできない。

⑶ 上記の例で、Bが乙所有不動産を取得する旨の遺産分割協議が成立した場合には、甲、丙、丁間で丁が乙所有不動産を取得する旨の遺産分割協議と、A,B間で丁が取得した不動産をBが取得する旨の遺産分割協議が成立したものと解することができるので、数次相続で、中間の相続が単独相続の場合に相当する。したがって、中間省略で、乙からBに直接相続登記をすることができる。

 

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