営業時間/9:00~18:00(電話受付は24時間可能)

遺言

2019/08/02 遺言

遺言の意義
近代司法には三大原則があり、「権利能力平等の原則」、「所有権絶対の原則」、「私的自治の原則」が一般にそれに相当するといわれています。原則ですから、例外もあることをとりあえず付け加えておきます。
この三大原則のうち、「私的自治の原則」とは個人間の権利義務・法律関係(私法関係)については、その個人が、その自由意思に基づいて自律的に決定することができるという原則です。
要するに、自分が私法上の権利を取得したり、それを行使したり、または、私法上の義務を負ったり、義務を履行したりすることは、自分で決めることができるという原則であります。
この私的自治の原則から派生する近代私法の原則として、法律行為自由の原則があります。
これは、人は、生まれてから死ぬまでの間、自分の意思に基づいて、自由に法律行為をすることができるという原則です。
この私的自治・法律行為自由の原則は、私法関係において個人の意思・自由を最大限尊重しようとするものです。
人は、生前であれば、自由に法律行為をして自分の法律関係を形成することができます。
しかし、人は死亡すれば権利義務の主体ではなくなるので、本来であれば、自分の死後に生じる法律関係に影響をおよぼすこはできないはずであります。
もっとも、自分が築いてきた財産等についてその死後は何も影響を及ぼすことができないとすると、その人の意思に反する結果となるおそれがあり、個人の私有財産を保障する私的自治の原則の趣旨に反することになる可能性があります。
その趣旨に沿うようにするためには、個人の権利義務に対するその人の意思は、その人の生存中のみならず、死後においても尊重されるのが望ましいと思われます。
そこで、個人の意思を尊重するため、私的自治・法律行為自由の原則を拡張し、その個人の法律関係に関する意思を、その個人の死後においても、効果を生ずるようにした制度が、「遺言」という制度であります。
また、このように個人の死後においても遺言を作成することによって、自由な意思に基づいて、死後の法律関係を形成することができることを「遺言自由の原則」ということがあります。
遺言の効果
上記のとおり、遺言は個人の意思を死後においても尊重しようという制度です。したがって、遺言を作成しておけば自分の死後であってもその遺言に従って法律関係が形成されることになります。
特に、相続財産は被相続人が築いてきたものですから、この相続財産に関しては遺言の効果が大きく及びます。
例えば、法定相続分とは異なる相続分を指定したり、または、法定相続人でない人に相続財産を遺贈したりすることができます。
具体的には法定相続分を変更したり(法律的には相続分の指定という)、あるいは相続人Aさんには不動産、相続人Bには銀行預金というように(法律的には特定遺贈という)指定することができます。
しかし、相続の制度は公権的意義も含みますのでいかなることも定められるというわけにはいけません。
遺言で定められる事項について一定の制限があり、遺言書に記載したことがすべて効果を生ずるとは限りません。
たとえば、法定相続人には遺言によっても奪うことのできない最低限の取り分があります(法律的には遺留分という)。ただし、兄弟姉妹には遺留分はありません。
以上は財産関係に関する遺言ですが、身分関係に関する遺言としては死後認知なと限られたものに限り効果が認められます。
遺言作成の方式
遺言は厳格な様式行為です。法律の定めに従った方式で作成しなければ法的効果を生じません。
遺言作成の代表的な方式としては、自筆証書遺言、秘密証書遺言、公正証書遺言があります。
具体的には⓵自筆証書遺言については「自筆証書遺言は遺言者が全文、日付及び氏名を自書しこれに印を押さなければならない。」(民法968条1項)条文には実印とは書いていないから認印でも結構です。しかし、この遺言書の訂正は厳格である。「加除その他の変更は遺言者がその場所を支持し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効果を生じない。」(同2項)
司法書士は登記申請において申請書の訂正などを行う場合、これほどの厳格な形式で訂正は行いません。実務上は間違った場所に印鑑を押すか、欄外に訂正印を押してその横に「何字抹消何字加入」と書く程度の簡単なもであります。
⓶ 秘密証書遺言は 1「遺言者が、その、証書に署名し、印を押すこと。」自筆証書遺言のように全文を自筆で書く必要はないということです。2「遺言者が、その証書を封じ、証書に用いた印章をもってこれに封印すること。」つまり、証書に押した印鑑と、封印の印鑑が同一であることをあることを要件としています。実印は要件としていませんからこれも認印でよいということなります。ここからが大変です。3遺言者が、公証人1人及び証人2人以上の前に封書を提出して、自己の遺言書である旨並びにその筆者の氏名及び住所を申述すること。4 「公証人が、その証書を提出した日付及び遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者及び証人とともにこれに署名し、印を押すこと。」(民法970条1項)、訂正については同条2項で厳格な自筆証書遺言の規定が準用されていますから万が一、訂正があった場合は専門家である公証人にも確認はできないのでその遺言の有効性については不安が残るということになります。
⓷ 公正証書遺言については1 「証人2人の立会があること。」2 遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。」3 「公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させること。」4「遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、印をおすこと。ただし、遺言者が署名することができない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に変えることができる。」5 「公証人が、その証書は前各号に掲げる方式に従って作ったものである旨を付記して、これに署名し、印を押すこと。」
公正証書遺言は条文だけを見ると、複雑そうでありますが原案作成から公正証書作成まで一貫して司法書士又は弁護士と公証人が内容と有効性につて常にチェックいたしますから依頼人にとっても安心できるものと考えております。

福岡司法書士事務所
電話番号 0120-71-3168
住所 〒558-0051 大阪府大阪市住吉区東粉浜3-29-2
営業時間 9:00~18:00(電話受付は24時間可能)
定休日 土曜・日曜・祝日

TOP